足るを知る

伊勢正臣さんのメルマガより

 

伊勢神宮で長らく神事に携わり、神宮徴古館・農業館・せんぐう館の館長を歴任された吉川竜実氏は、その様子をこう説明されています。

 

 

 

「自然界のすべての生きとし生けるものが互いに支え合っている」という自然観では、「足るを知る」ことが大切とされます。農耕を始めた世界の古代文明は、原始農業による自然破壊で砂漠化してしまっていますが、それは自然に対する同胞感の欠如から、人間が自分のことだけを考えて、「足るを知る」ことなく、野放図な開発をしてしまったからです。

 人間中心の考え方で自然を乱開発してきた近代西洋文明が行き詰まりを迎えて、SDGs(持続可能な開発目標)が訴えられているのも、「足るを知る」ことを弁(わきま)えなかったからであり、そして、その根底には、自然の全てが「神の分け命」として人間と同胞であるという自然観を持っていなかったからです。